お絵書きの時間
佐藤 雅彦 氏の本は、“佐藤 雅彦”というだけで買っている。
これもその一冊、というか三冊。
小冊子のような小さな本の三冊セット。
『イメージの読み書き』という題名通り、
文字で読み書きするように、イメージで同行為ができないか?
という試みが集められた本。
文字という表現力に縛られない表現 の可能性 の模索
続きは↓ココから↓
帯にも書いてある「立体で奥行が長い☆の絵」が最もわかりやすい。これは、マヨネーズという題名が付けられている。
マヨネーズってにゅっと出すと、断面が☆になっていますよね?
これは容器の出口が☆型に切ってあるから。
この絵は、まるでマヨネーズをまっすぐにゅっとだしたような絵
ともとれます。そこから、この絵を書くことで「マヨネーズ」と書く行為と同意味になり、読み手も同じく「マヨネーズ」が伝わる。
絵のマヨネーズは文字のそれよりも、
書き方を変えればもの凄い情報量を含ませることができます。
例えば、☆の山が指で潰されていたら「誰かが指で舐めたかもしれないマヨネーズ」になるし、後の方が途切れ途切れになってたら「容器最後のマヨネーズを振り絞った」と感じてもらえるかもしれない。
これは「情報の圧縮」とも言える。
.zipや.lhaや.sitファイルにするのと同じ行為。
「情報の氾濫」と言われ長い月日が経ちましたが、人間は変わっていないのに要求される情報処理量は益々増していマス。マスマス。
日本語という言語は、そういった点でとても優秀だと思います。ニュアンスを感じる表現力豊かな単語が多いからです。
だから、日本語をフル活用していれば、この本に書かれているようなイメージによる読み書きには頼らなくてもいいのかもしれません。
いや、この本を見れば「なんでわざわざイメージで読み書きしないとあかんのん?」と感じはるかもしれない。
それは、日本語の表現力の凄さを知っているからだと思います。
だから、もしかすると日本よりも他言語国で売るほうが、この本はウケるかもしれません。
だけど、表現力豊かな日本語を話す人だからこそ、
こんなことが考えられて、もっと上の表現を欲求している。
とも言えるのかも?
まぁそんなこんなで、この本は少し難解です。
面白く感じる人にはこの上なく面白い本ですが、
判らない人には、理解の糸口すら見つけられない本です。
その上、自分が感じた面白さが、著者の意図したそれと同じかどうか?を確かめる術がない。(どう楽しもうが勝手だという解釈もありますが、タイトルに読み書きとあるので、ある程度正確な情報伝達を目指されていると思います)
その上、このショボイ体裁で1500円です。
これを高いと感じるか?安いと感じるか?
あまりに人によって差がありそうなので、万人にオススメはしません。
だけど、もしあなたがこの本を面白く感じられる人だとしたら…
この本に出会わなかったことが今後の大きな損失にならなければいいのですが…。