これから見ようとしている気分を害することは、あまり書かないほうがいいと思っていました。
だけど、あまりに面白くない映画ははっきりと、
「面白くないから見ないほうがいい」
というべきだと、この映画を見て思いました。
こんな面白くない映画を見て
「やっぱ邦画って面白くないね」って思う人が増えてほしくない。
>>>いつもの如く、ネタバレ防止反転です。
久しぶりに見ましたヨ!こんなベタベタにあかん邦画は!
「あかん邦画黄金法則」の模範映画ですね。
※解説「あかん邦画黄金法則」
○リアル社会での悪行を映画を口実に美化する
○意味無く濡れ場、訳無く恋に落ちる
○スタッフがおいしい
(海外ロケ、職権乱用的に趣味を満足させる、温泉、うまい料理…)
何故か面白くない邦画に共通する、ダメさを増幅する3要素
KOuが勝手に作ったものです。
愚点を上げればキリが無いこの映画ですが、
その中でも、重罪なのは脚本です。
「観客との信頼関係を軽視している」という重罪です。
「実は○○でした!」という展開は、基本的に観客への裏切り行為です。「いままで言っていたことはすべてウソでした。」といっているのですから。それは信頼関係がなりたたないと成立しないエンタメ(※注)にあってはならない行為で、自殺行為です。
「BBSにあれだけ頻度にアクセスしてたら、その方が足つくって」
「あれだけ完ぺき主義の主人公が何でボイスチェンジャーついてない携帯で電話するんだよ!」とか
「苦情言ったおばさんが、相手に顔見せるはずないやん!」
「auのあの携帯では、あんなに大きく長い動画は撮れません」
映画が言っている本筋を見ているだけでは裏切られると知った観客は、信用できる自分の眼で見ようとします。すると視点の誘導がきかず、このような重箱の隅に気をとられて本筋に集中できなくなります。
だから、いままで以上に作りこみの必要性があるのです。
細部まで作りこむか?
ダイナミックな演出で、むりやりにでも視点誘導するか?
裏切りを忘れるほどの面白い展開を作るか?
どれにしても、一度下げた信頼を上げる行為ですから、並大抵の労力ではできません。
だから、大どんでん返しは最後に持ってくるのです。もう終わりですから。卑怯かもしれませんが、やり逃げみたいなものです。
この映画は、裏切り後の時間が1時間近くありました。
けど、前半以上に安易で安いつくりこみ。
前半はダラダタ、信頼のない後半。
どうやって、この映画を楽しめばいいのでしょうか?
正直、ワタシの2時間を返してほしいです。
凝りもせず、安易な裏切りを何度も繰り返します。
映画が何を言っても信用できない状態にして、どこを楽しめばいいのですか?
単に面白くない映画ならコメントしないでおこうと思ったのですが、あまりにも面白くない上に、
「やっぱ邦画は面白くないね」って思う人を増やしてしまう重罪
を犯した腹立つ映画だったので…。
注※信頼関係がなりたたないと成立しないエンタメ
フィクションである映画は、SFXやCGを使えばどんな空想も表現可能となる「何でもあり」の世界です。「何でもあり」の更地にどんな面白い「縛り(出来ないという制限)」を設定するか?というのが脚本の面白さです。
例えば「離れると彼は彼女に二度と会えない」という縛りがあるから、別れのシーンが悲しくなります。観客はそのフィクションを信じているから別れが悲しいと思うのです。
映画が実直に縛りを訴える 観客がそれを信じる
という信頼関係があるから、ラストシーンに感情移入できるのです。
■reference
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