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2005.02.04

■車掌の温情

ハウス名作劇場を思い出しながらお読みください

まだ汽車に乗ったことがない人がいるくらいの古いヨーロッパの田舎。
もちろん単線で、日に何本しか通っていない。

そんなのんびりした汽車に、とてもそぐわない少年がいる。
彼の落ち着き無さは、狭い車内隅々まで行き渡っていた。

皆の興味の堰を切ったのは、やはり車掌さんだった。

「なぜそんなに急いでいるのかい?」

少年は、はっと我に帰った顔をし、
車掌の目をじっと見ながらこうつぶやいた。


「ママが・・・ママがもうすぐ・・・うわぁ〜ん」


車掌は、少年の涙腺の堰も切ってしまった。
乗客皆が聞き耳を立てる中、彼は貯まっている気持ちを吐き出した。良く分からないこともあるが、つまり少年の母が危篤で、一刻も早く実家に帰りたいということだった。

「っで、おまえの家はどの辺なのだい?」と車掌。
「○○駅と××駅の丁度中間」と答える少年。

少年の落ち着きのなさは、ここにも理由があった。
汽車に乗りなれていない少年にとって、駅の無い途中で飛び降りることなど、造作でもないことだと思い込んでいた。

しかし走ってみてびっくり!
なんという速さなのだ!
これでは、飛び降りるなんてことは到底できそうもない。

 母に会いたい・・・
 でも、飛び降りたらボクはどうなるのだろう・・・

迷う少年の気持ちが、この車内のなんとも言えない空気を作っていた。


「おまえ、途中で飛び降りようと思っていただろう?」
車掌に図星を突かれ、少年の顔はますます暗くなる。


ゴトゴトゴト・・・
線路の音だけが、唯一平常心を保っていた。




「そろそろだぞ。用意しろ!」
車掌の言葉の意味を理解できる人はいない。

 ♪リリリリリリ〜ン
 「乗客の皆様にお伝えしたいことがございます。
  当汽車はこの先で臨時停車いたします。
  少しばかりのお時間と、神への祈りを
  この少年の母を思う気持ちにお与えくださいませ。」

そう言うと、胸で十字を切り そっと目を閉じた。

車窓から見える、懐かしい風景のステンドグラス。
礼拝堂の座席には、頭を垂れる信者。
車内に充満していたあの空気は、もぅどこにもない。


 キキキキキキ〜ッ グワン グワンッ



きっと少年は間に合うはずだ。
大きく羽を広げた少年を見れば、そう思わない人はいない。


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全ての人に“気持ちの余裕”があれば、
そんなに問題になることではないように思うんだけどなぁ。



  “余裕”の為に“余裕”を削る




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■reference
乗り越し受験生に配慮、新幹線が宇都宮駅に臨時停車 - asahi.com : 社会
posted by KOu at 17:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ■other
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最後まで読んでくれてありがとう!
そんなあなただけに、KOuからのとっておきトリビア!


トリビア司会者の後ろにある水槽の商品名は「アクアティックビジョンシステム」
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