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まず断っておかなければいけないことは、
「ボクは普通の文系人間で、高校数学1しかやっていません」
ってこと。
この本は、カルト系や空想の本ではなく、まじめな物理学書です。
メガネをかけたヒチサン学生に混じって、本棚をあさらないと
見つけることはできないかもしれない本です。
帯に書いてある文を引用すると
アインシュタインからホーキンスまでの現代物理学理論を駆使、もっとも現実的なタイムマシンのつくり方を考える。
もういちど、断っておきます。、
「ボクはごく普通の文系人間で、高校数学1は睡眠時間でした。」
ってこと。(寝てたのかよ!)
そんなボクでも、最後まで楽しく読めたこの本は、
本の内容云々以前に、
「分かりにくいこ難しいことを、素人にもわかりやすく語る」
というとての難解なウルトラCをやってのけていることに
まず賞賛したい。
騙されたと思って、まず立ち読みしてみてくださいよ。
それが絶対わかりますから。
まず、目に付くのが、挿絵のオサレ具合。
すんごくオサレです。
大人なオサレというか、酸いも甘いも分かったオサレです。
読み始めて、まず心にぐっとくるのは、この一文
時間は絶対的には定義されていない
------------アルベルト・アインシュタイン
これ、理解できます?
絶対的ではないとすると、反対語の「相対的」となります。
「相対的」ってぇのは、2者以上との比較の結果ということです。
「あの車速ぇなぁ!」は相対的意見
「あの車160km/hだしたぞ!」は絶対的意見 です。
相対的は比較ですから、
「速ぇなぁ!」は何かと比較した時の意見です。
多分、その人のなかで、「標準的な車の速度」というのがあり、
それよりも速かったので、言ったのでしょう。
それに対し、絶対的というのは、
他者や環境によって変化することない、固定された値
ですから、周りがどうであろうと、それはそれである頑固者です。
なので、他の車がどんなスピードで走っていようが、
160km/hは160km/hです。変化しません。
っで、話を元に戻すと、
時間はどちらでしょうか? 絶対的?相対的?
自分を好いてくれる彼女から、言われたことがありませんか?
「あなたといると、時間が早くすすんじゃうわ」
こんなさむいコメントを言う彼女は、
時間が相対的に進んでいたという意味を言ったことになります。
「あした12時に集合!」
これは時間が絶対的だから、約束が成立します。
株価の上下で時間は変化しませんし、
自分の都合で12時が変化するのは「傲慢上司」だけです。
誰もに平等に12時のお昼ご飯はやってくるから約束が成立します。
さむいコメントする彼女も、傲慢な上司も、
言葉では絶対的ではない時間を言っていますが、
現実的には、ちゃんとみんなと平等に時間を過ごしています。
なので、
さむいコメントの彼女は、人より早くババァになるわけではないし
傲慢上司も他人と同じ寿命感覚で生きています。
つまり、感覚上では「相対的な時間」はありますが、
現実世界では「時間は絶対的」なのです。
ここまでの文章、
わかっている方にはつまらない文章ですね。
ある程度の大人なら、けっこう知っていることです。
これが分別ある大人の常識ですよね。
はい、これは物理学では間違いです。
時間は絶対的には定義されていない
------------アルベルト・アインシュタイン
あの天才、アインシュタインがこういっているのです。
そして、物理学者の間ではこっちが常識です。
絶対的な時間感覚では、タイムマシンは作れません。
絶対に無理です。何を変化させても、
過ぎた12時は12時のまま、もう二度と戻ってはきません。
けど、相対的ならばどうでしょう?
他者との比較で成立する時間ですから、
他者が変われば、時間も変わるってわけです。
ほらっ、どうですか?
タイムマシンって絶対無理ですか?
もし、時間が相対的ならば、
タイムマシンがまんざら空想ではない っと思いません?
この本は、こういう「相対的な時間」の話からはじまって、
最新の物理学まで話が進みます。
さらにもういちど、断っておきます。
「ボクはごくごく普通の文系人間で、高校数学1って何?」